中学数学:今年の人数をx,yと置くとどうなるの?

こんにちは。相城です。今回は皆さん疑問に思ったことがあるかもしれません。連立方程式の増減の問題で, なんで今年の人数をx, yと置かないんだろうか?と。その疑問を見ていきましょう。

一般的な解法の裏側

問題:ある中学校で去年の生徒の人数は335人で, 今年は男子が5\%減り, 女子が4\%増えたので全体としては1人減った。
今年の男子と女子の人数を求めなさい。

よくありきたりな中学2年生で習う連立方程式の割合(増減)の文章問題である。
通常去年の男子の人数x人, 去年の女子の人数をy人として, 次のような連立方程式を立てるのが定石である。
式1

    \begin{eqnarray*} \begin{cases}x + y = 335&\cdots\textcircled{\scriptsize 1}\\0.95x + 1.04y = 334&\cdots\textcircled{\scriptsize 2}\end{cases} \end{eqnarray*}


または,
式2

    \begin{eqnarray*} \begin{cases}x + y = 335&\cdots\textcircled{\scriptsize 3}\\-0.05x + 0.04y = -1&\cdots\textcircled{\scriptsize 4}\end{cases} \end{eqnarray*}


このどちらを解いてもx=160, y=175となり, 今年の人数は男子160\times 0.95=152(人), 今年の女子 334-152=182(人)を得る。
答えを書くと、
今年の男子152人, 今年の女子182人\cdots(答)
ここで, 式1の\textcircled{\scriptsize 2}と式2の\textcircled{\scriptsize 4}は, どちらも同じ式であることは知っておかなければならない。
形が違うだけで, まったく同じ式である。以下にそれを書いてみた。
0.95x+1.04y=334\cdots\textcircled{\scriptsize 2}は次のように書ける。

    \[(1-0.05)x+(1+0.04)y=334\]


展開して(かっこをはずして),

    \[x-0.05x+y+0.04y=334\]


並べ替えると,

    \[-0.05x+0.04y+\underline{x+y}=334\]


ここで, 下線部は式1の\textcircled{\scriptsize 1}から335(x+y=335\cdots\textcircled{\scriptsize 1}より)と同じ(同値)である。
従って次のようになる。

    \[-0.05x+0.04y+335=334\]


335を右辺へ移行して、整理すると,

    \[-0.05x+0.04y=-1\]


となり, 式2の\textcircled{\scriptsize 4}が得られた。
式1の\textcircled{\scriptsize 2}は今年の男子の人数と, 今年の女子の人数を合計して何人になったかという式で,
式2の\textcircled{\scriptsize 4}はというと, 単純に男子が何人減って, 女子が何人増えたか, そして結果として何人の増減だったのかという式である。

今年の人数をx, yとしてみると

では, 最後に面倒な小数の計算して今年の人数を出すぐらいなら,
何で今年の男子の人数をx人, 今年の女子の人数をy人としないのか, 納得いかない。
そういう方のために実際に今年の男子, 女子の人数をそれぞれx人, y人としてやってみました。
(解)今年の男子x人, 今年の女子y人とおくと,
x+y=334
去年の男子は\dfrac{x}{0.95}人, 去年の女子は\dfrac{y}{1.04}
これより,

    \[\dfrac{x}{0.95}+\dfrac{y}{1.04}=335\]


これより求める式は,

    \begin{eqnarray*} \begin{cases}x + y = 334&\cdots\textcircled{\scriptsize 1}\\\dfrac{x}{0.95}x + \dfrac{y}{1.04}y = 335&\cdots\textcircled{\scriptsize 2}\end{cases} \end{eqnarray*}


なんか面倒みたいですね。ただ答えが出ることを確認するために, 最後まで力ずくで行きましょう。
\textcircled{\scriptsize 2}の式の分母が小数なのが嫌なので, 両辺に\dfrac{1}{100}をかけると

    \[\dfrac{x}{95}+\dfrac{y}{104}=\dfrac{335}{100}\cdots\textcircled{\scriptsize 3}\]


両辺に95\times104をかけると,

    \[104x+95y=33098\cdots\textcircled{\scriptsize 4}\]


\textcircled{\scriptsize 1}\times95より,

    \[95x+95y=31730\cdots\textcircled{\scriptsize 5}\]


\textcircled{\scriptsize 4}-\textcircled{\scriptsize 5}より,
\begin{array}{rrrrrr}&104x&+&95y&=&33098\\-)&95x&+&95y&=&31730\\ \hline&9x& & &=&1368\end{array}

x=152, これを\textcircled{\scriptsize 1}に代入して, y=182
よって,
今年の男子152人, 今年の女子182人\cdots(答)
この解法で, ポイントは\textcircled{\scriptsize 2}の式でしょうね。結局式を作る過程で去年の人数を使うんだし, 今年の人数をx, y とおくと, 去年の人数が分数になってしまう。それだったら去年の人数をx, yとおいて, 今年の人数を求めた方が楽だってことでしょうね。
今年の人数をx, yとおいて答えが出ないわけではないです。面倒なだけなのです。

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