高校数学:確率:期待値について

こんにちは。今回は期待値について書いておきます。

期待値とは

期待値とは, ある試行を1回行ったときにその結果として得られる数値の期待できる値(平均値)のことです。
期待値が分かることで, その試行を行った方が損か得かが知れ, その試行を行うかどうかの判断材料の1つになります。

期待値の求め方

期待値を求める公式

ある試行において, 確率変数Xのとる値が, x_1, x_2, x_3, \cdots, x_nで, x_1, x_2, x_3, \cdots, x_nの値に対する確率が, それぞれ, p_1, p_2, p_3, \cdots, p_nであるとすると, 期待値E[X]は次の式で与えられます。
E[X]=p_1x_1+p_2x_2+p_3x_3+\cdots+p_nx_n\cdots\maru1
また, 単に
E[X]=\displaystyle \sum_{k=1}^n p_kx_k\cdots\maru2
とします。
\displaystyle \sumの記号を履修していない人のために補足すると,
\displaystyle \sumはシグマと言い, 総和を意味します。上の\displaystyle \sum_{k=1}^nの意味は, kを1からnまで1つずつ変化させ1~nまで足しなさいと命令しています。\maru1\maru2は同じ意味です。

期待値の問題(コイン)

【問題】3枚のコインを同時に投げるとき, 表の枚数の期待値を求めよ。
【解答例】
表を〇, 裏を\timesとすると, すべての出方は2^3=8通りあり, その内訳は,
表0枚\cdots(\times, \times, \times)\cdots1通り
表1枚\cdots(〇, \times, \times), (\times, 〇, \times), (\times, \times, 〇)\cdots3通り
表2枚\cdots(〇, 〇, \times), (〇, \times, 〇), (\times, 〇, 〇)\cdots3通り
表3枚\cdots(〇, 〇, 〇)\cdots1通り
確率で表すと,
表0枚\cdots確率\dfrac18
表1枚\cdots確率\dfrac38
表2枚\cdots確率\dfrac38
表3枚\cdots確率\dfrac18
したがって, 表の枚数の期待値は,
0\times\dfrac18+1\times\dfrac38+2\times\dfrac38+3\times\dfrac18=\dfrac{3}{2}
よって, 表の枚数の期待値は\dfrac32

期待値の問題(損か得か)

【問題】次のくじを引くことを考える。
1等1000円が1本, 2等500円が2本, 3等200円が5本入っている総数100本のくじがある。この中から1本40円でくじを引く。ただし, はずれを引いた場合は賞金は0円とする。この1本40円というのはこのくじ引きの期待値と比べて, 損か得か調べよ。
【解答例】
1等1000円\cdots確率\dfrac{1}{100}
2等500円\cdots確率\dfrac{2}{100}
3等200円\cdots確率\dfrac{5}{100}
はずれ0円\cdots確率\dfrac{92}{100}
したがって, 1本あたりの賞金の期待値は,
1000\times\dfrac{1}{100}+500\times\dfrac{2}{100}+200\times\dfrac{5}{100}+0\times\dfrac{92}{100}=30(円)
よって, 1本のくじに期待できる賞金は30円なので, そのくじを1本40円で引くことは損であると判断できる。

【別解】
くじを全部買ったとして得られる賞金は1000+500\times2+200\times5=3000(円)であり, 1本あたりの賞金は3000\div100=30円である。したがって, このくじを1本あたり40円で買うと損をすることが分かる。

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