高校数学:数列:複利計算の体系的理解

こんにちは。模試や実力テストで問われることがある複利計算。さてどんなからくりなんでしょう。

基本例題を見てみよう

【例題】年利率0.2\%, 1年ごとの複利で, 毎年初めに15万円ずつ積み立てるとする。10年後の年末における元利合計の金額はいくらになるか。ただし, (1.002)^{10}=1.0202とする。

【解法】
計算の都合上, 万円の単位は省くものとする。
1年後の年末
1年後15\times1.002
2年後は1年後の金額に15足して, 年末1.002倍になるので,
2年後(15\times1.002+15)\times1.002=15\times(1.002)^2+15\times1.002
3年後も同様に, 2年後の金額に15足して, 年末1.002倍になる。
3年後(15\times(1.002)^2+15\times1.002+15)\times1.002
=15\times(1.002)^3+15\times(1.002)^2+15\times1.002
つまり, 10年後の年末は,
10年後15\times(1.002)^{10}+15\times(1.002)^9+15\times(1.002)^8+\cdots+15\times(1.002)^2+15\times1.002
となる。
これは, 初項15\times1.002, 公比1.002の等比数列の第10項までの和なので,
10年後の元利合計の金額を計算すると,
\dfrac{15\times1.002((1.002)^{10}-1)}{1.002-1}=\dfrac{15\times1.002(1.0202-1)}{0.002}=151.803
よって, 10年後の金額は, 151.803万円

ちょっとした応用

【例題】年利率5\%で100万円借りて, ちょうど1年後から毎年10万円ずつ返済していくとする。このとき, 何年後に返済し終わるか。ただし, 1年ごとの複利で計算し, \log_{10}1.05=0.0212, \log_{10}2=0.3010とする。

【解法】
100万円と10万円を計算の都合上, それぞれ100, 10とすると, 1年後は借りたお金は100\times1.05になっている。そこから10ずつ返していくので, 1年後の残りの金額は100\times1.05-10\cdots\maru1となる。2年目は\maru1の金額の1.05倍したものから10を引いた金額が, 2年後の残りの金額になる。つまり, (100\times1.05-10)\times1.05-10=100\times(1.05)^2-(10\times1.05+10)\cdots\maru2, 3年目は\maru2の金額の1.05倍したものから10を引いた金額が3年後の残りの金額になる。
つまり, 100\times(1.05)^2-10\times1.05-10)\times1.05-10
=100\times(1.05)^3-(10\times(1.05)^2+10\times1.05+10)\cdots\maru3となる。
ここまでくるとある程度見通しは立つだろうか。一旦整理すると,
1年後
100\times1.05-10
2年後
100\times(1.05)^2-(10\times1.05+10)
3年後
100\times(1.05)^3-(10\times(1.05)^2+10\times1.05+10)
これをn年後とすると,
n年後
100\times(1.05)^n-(10\times(1.05)^{n-1}+10\times(1.05)^{n-2}+\cdots+10\times1.05+10)\cdots\maru4
となる。
返済が終わるということは, \maru4が0以下になればいいので,
100\times1.05^n-(10\times1.05^{n-1}+10\times1.05^{n-2}+\cdots+10\times1.05+10)\leqq0
より,
100\times1.05^n\leqq10\times1.05^{n-1}+10\times1.05^{n-2}+\cdots+10\times1.05+10
右辺は等比数列の和の公式より,
\dfrac{10(1.05^n-1)}{1.05-1}=200(1.05^n-1)なので,
100\times1.05^n\leqq200(1.05^n-1)
1.05^n\geqq2
n\log_{10}1.05\geqq\log_{10}2
0.0212n\geqq0.3010
n\geqq14.198\cdots
よって15年後に返済し終わる。

からくりはこんな感じであるが, 返済金額は年利率5\%で1年後から10年後まで積み立てて1度に返すと考えてみてもよい。つまり,
1年後10
2年後10\times1.05+10
3年後(10\times1.05+10)\times1.05+10=10\times(1.05)^2+10\times1.05+10
\vdots
n年後10\times(1.05)^{n-1}+10\times(1.05)^{n-2}+\cdots+10\times1.05+10
このn年後の和を求めて, それが100\times(1.05)^n以上になればよいと考えても問題はない。

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