高校数学:数III積分・無理関数の積分のコツ

こんにちは。今回は無理関数の積分について書いておきます。以下, Cは積分定数とします。

根号の中と外の式でf'(x),f(x)の関係がある場合

\displaystyle\int p\cdot f'(x)\sqrt{f(x)}\,dx\displaystyle\int\dfrac{p\cdot f'(x)}{\sqrt{f(x)}}\,dxの積分では, f(x)=tとおくとうまくいくことが多い。
【例1】\displaystyle\int (x+1)\sqrt{x^2+2x}\,dxの不定積分を求めよ。
x^2+2x=tとおくと, 2x+2\,dx=dtより,
(x+1)\, dx=\dfrac12\,dt
\begin{array}{lll}\displaystyle\int (x+1)\sqrt{x^2+2x}\,dx&=&\displaystyle\int\sqrt{t}\cdot\dfrac12\,dt\\&=&\dfrac12\displaystyle\int t^{\frac12}\,dt\\&=&\dfrac12\cdot\dfrac{2}{1+2}t^{\frac12+1}+C\\&=&\dfrac13t^{\frac32}+C\\&=&\dfrac13\sqrt{x^3(x+2)^3}+C\end{array}
【例2】
\displaystyle\int \dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}}\,dxの不定積分を求めよ。
x^2+1=tとおくと, 2x\,dt=dtより,
x\,dt=\dfrac12\,dt
\begin{array}{lll}\displaystyle\int \dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}}\,dx&=&\displaystyle\int\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}\cdot x\,dx\\&=&\displaystyle\int\dfrac{1}{\sqrt{t}}\cdot\dfrac12\,dt\\&=&\dfrac12\displaystyle\int\dfrac{1}{\sqrt{t}}\,dt\\&=&\dfrac12\displaystyle\int t^{-\frac12}\,dt\\&=&\dfrac12\cdot\dfrac{1}{-\frac12+1}t^{-\frac12+1}+C\\&=&t^{\frac12}+C\\&=&\sqrt{x^2+1}+C\end{array}

根号の中と外の式でf'(x),f(x)の関係がない場合

上記のような関係がない場合, つまり, \displaystyle\int p\cdot g(x)\sqrt{f(x)}\,dx\displaystyle{p\cdot g(x)}{\sqrt{f(x)}}の積分では, \sqrt{f(x)}=tとおくとうまくいくことが多い。

【例】\displaystyle\int x\sqrt{x+1}\,dxの不定積分を求めよ。
\sqrt{x+1}=tとおいて, 両辺2乗すると, x+1=t^2なので,
x=t^2-1, また, dx=2t\,dtなので,
\begin{array}{lll}\displaystyle\int x\sqrt{x+1}\,dx&=&\displaystyle\int(t^2-1)\cdot t\cdot 2t\,dt\\&=&\displaystyle\int(2t^4-2t^2)\,dt\\&=&\dfrac25t^5-\dfrac23t^3+C\\&=&\dfrac25\left(\sqrt{x+1}\right)^5-\dfrac23\left(\sqrt{x+1}\right)^3+C\\&=&\dfrac25(x+1)^2\sqrt{x+1}-\dfrac23(x+1)\sqrt{x+1}+C\\&=&\left\{\dfrac{6}{15}(x^2+2x+1)-\dfrac{10}{15}(x+1)\right\}\sqrt{x+1}+C\\&=&\dfrac{2}{15}(3x-2)(x+1)\sqrt{x+1}+C\end{array}

分母が√f(x)±√g(x)の場合

分母が\sqrt{f(x)}\pm\sqrt{g(x)}の場合, 有理化を行って処理していくことが多い。
【例】\displaystyle\int \dfrac{x^3}{\sqrt{x^2+1}-1}\,dxの不定積分を求めよ。
積分される関数の分母を有理化すると,
\begin{array}{lll}\dfrac{x^3}{\sqrt{x^2+1}-1}&=&\dfrac{x^3(\sqrt{x^2+1}+1)}{(\sqrt{x^2+1}-1)(\sqrt{x^2+1}+1)}\\&=&x(\sqrt{x^2+1}+1)\\&=&x\sqrt{x^2+1}+x\end{array}
となるので, 与式は
\displaystyle\int \left(x\sqrt{x^2+1}+x\right)\,dx
となる。
\begin{array}{lll}\displaystyle\int \left(x\sqrt{x^2+1}+x\right)\,dx&=&\displaystyle\int\left\{\dfrac12(x^2+1)'(x^2+1)^{\frac12}+x\right\}\,dx\\&=&\dfrac12\cdot\dfrac23(x^2+1)^{\frac32}+\dfrac12x^2+C\\&=&\dfrac13(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+\dfrac12x^2+C\end{array}

これでもうまくいかない場合は, 次の部分分数分解という手段が考えられる。

無理関数の部分分数分解

【例】不定積分\displaystyle\int\dfrac{x\sqrt{x}-1}{x-\sqrt{x}}\,dxを次のようにして求めよ。
(1) \dfrac{x\sqrt{x}-1}{x-\sqrt{x}}=\dfrac{ax+b}{\sqrt{x}-1}+\dfrac{c}{\sqrt{x}}となる, 定数a, b, cを求めよ。
(2) (1)を利用し, 問題の不定積分を求めよ。
【解法例】
(1)
\begin{array}{lll}\dfrac{ax+b}{\sqrt{x}-1}+\dfrac{c}{\sqrt{x}}&=&\dfrac{\sqrt{x}(ax+b)+c(\sqrt{x}-1)}{\sqrt{x}(\sqrt{x}-1)}\\&=&\dfrac{(ax+b+c)\sqrt{x}-c}{x-\sqrt{x}}\cdots\maru1\\\end{array}
\maru1と与式の\dfrac{x\sqrt{x}-1}{x-\sqrt{x}}が恒等的な関係なので,
ax+b+c=x, -c=-1
よって, a=1, b=-1, c=1
(2) (1)より,
\displaystyle\int\dfrac{x\sqrt{x}-1}{x-\sqrt{x}}\,dx=\displaystyle\int\left(\dfrac{x-1}{\sqrt{x}-1}+\dfrac{1}{\sqrt{x}}\right)\,dx
となり, 右辺の左の項を有理化すると,
\dfrac{x-1}{\sqrt{x}-1}=\dfrac{(x-1)(\sqrt{x}+1)}{(\sqrt{x}-1)(\sqrt{x}+1)}=\sqrt{x}+1
よって求める不定積分は,
\begin{array}{lll}\displaystyle\int\left(\sqrt{x}+1+\dfrac{1}{\sqrt{x}}\right)\,dx&=&\dfrac23x^{\frac12+1}+x+2x^{-\frac12+1}+C\\&=&\dfrac23x\sqrt{x}+x+2\sqrt{x}+C\end{array}

4 COMMENTS

依田 清

数Ⅲ積分 無理数の積分2番目の解答は
途中ではないかと思います。
私はこの授業が大好きです。

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mathtext

こんにちは。
お世話になります。
恥ずかしながらどの番号のことかわかりません。
詳しく教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

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依田 清

根号の中と外の式でf'(x),f(x)の関係がない場合で解答が5分の2と3分の2で終わっていますが分母を15に揃えるのが良いのか?私は先生の解答の方が理解しやすいです。今後も勉強させて頂きます。良きアドバイス宜しくお願い致します。

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mathtext

こんにちは。
ご指摘ありがとうございます。
修正しましたのでご確認よろしくお願いします。
今後とも何かございましたらアドバイスください。
よろしくお願いします。

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