こんにちは。高2の数列, 高3の積分などで活躍すると思われる部分分数分解。その分け方のパターンを見ていこうと思います。出てくる形は大体これというものを書いておきます。以下, 2パターンを紹介しておきます。
部分分数分解の方法として, 例えば,
を部分分数に分ける場合,
とおいて, 右辺を通分し, 分子の係数比較を行うことで, 連立方程式ができ, それを解くことで, 定数の値が求まり, 部分分数分解を実現できる仕組みになります。この他に, 分母をはらって恒等的な関係を用いる数値代入法で, 定数の値が求まります。考え方自体は恒等式の攻め方と同じです。
【例】部分分数に分解すると, となる。定数の値を求めよ。
【解法1】係数比較
右辺を通分すると,
これが左辺と等しいので,
, となり, これを解くと,
※通分でなくとも, 両辺にをかけて行ってもよい。
【解法2】数値代入法
与式の両辺にをかけて,
とすると,
とすると,
これを解くと,
を部分分数に分ける場合,
として, 分子の係数比較を行い, 連立方程式などで, 定数の値を決めるといいでしょう。これも先と同様に, 分母をはらって恒等的な関係を用いる数値代入法で, 定数が求まります。考え方自体は恒等式の攻め方と同じです。
【例】部分分数分解すると, となる。定数の値を求めよ。
【解法1】係数比較
右辺を通分すると,
これが左辺と等しいので,
これより, となる。これを解いて, となる。
※通分でなくとも, 両辺にをかけて行ってもよい。
【解法2】数値代入法
両辺にをかけて,
のとき,
のとき,
のとき,
から, これとを, に代入し,
から,
以上より,
部分分数のつくり方は
はより低次数。はより低次数と設定するのが一般的であると思われそうだが, やをそのやり方で設定してもうまくいかない場合がある。つまり, やの作り方を知らないと無限ループに落ちいることになる。
このルールにしたがって, 上のパターン2の解法で, 部分分数をつくるとき, 次のように設定するとする。
このとき, 【解法1】の係数比較の解法では, 未知数の文字が4つあるのに, 方程式が3つしか作れず,手詰まりとなる。しかし, 数値代入法を取り入れることで, 方程式は4つ以上作れるので, 問題なく答えられと考えるが, 無限ループにはまる。実際にやってみると, 次のようだ。
分子の係数比較より, ,
また, 分子だけの等式, に, を代入すると,
となり,
をに代入すると,
, ,
より得られる式は, となり, これはと同じである。
この後いくらやっても同じことになる。初めから数値代入法でやっても同じである。
したがって, ある程度部分分数の構成を知っておかないと, ドツボにはまることになる。
例えば, はと分解する。しかし, この分解においても, としてしまうと, 今示したような無限ループにはまる。そもそも前途したパターン2の解法で, 分子をとしたことや, 今のように分子をとしてなぜいけないのか。以下に示しました。
そもそも間違いなのは, の式の部分数分解で, 分子をやというようにおけないのである。理由は具体例を挙げると,
を部分分数分解するとき, 次のように行うからである。
このように, 分子は必ず定数になるからである。
文字でやってみると,
やはり, 分子にを含む項は現れない。
だから, この場合の部分分数分解で, 分子をなどとおくことは失敗の原因になる。特に分母が因数分解できるときは気をつけた方がいい。
一般的に分母のやのの係数は1であることが多いので, それで以下に部分分数分解のパターンを書いておく。これらの構成は知っておかないと, 先のようにドツボにはまる。
分子が1の場合の公式はこちらにまとめました。
高校数学:分子が1の部分分数分解の求め方 分解した分数式の分子の定数を決める方法として, 係数比較と数値代入法がある。
係数比較が面倒なときは, 数値代入法を使っていくとよい。
分解した分数式をとすると, はより低次数で, 一般的にはより次数を1つ下げるが, それでうまくいくとは限らない。きちんと部分分数分解の式の構成を把握しておくことが大事。