TikZ:高校数学:数III:減衰曲線の特徴y=e^(-x)sinxのまとめ

こんにちは。数III頻出の減衰曲線についてまとめてみました。ここでは, y=e^{-x}\sin xについてですが, y=e^{-x}\cos x, y=e^x\sin x, y=e^x\cos xについても同様ですので, 以下を参考にしてみてください。グラフは実際の関数y=e^{-x}\sin xをそのまま書いたのでは分かりにくくなるため, 変数を調整して書いています。実際のテストではここに書いてあるグラフのように, 特徴を強調して書いても大丈夫です。最後に面積についての問題を載せています。どうぞ楽しんでください。

y=e^(-x)sinxのグラフ

f(x)=e^{-x}\sin xとして, 0\leqq x\leqq 6\piの範囲でグラフを描いてみる。
第2次導関数まで求めてみると,
f'(x)=e^{-x}\cos x-e^{-x}\sin x=e^{-x}\left(\cos x-\sin x\right)
ここで, e^{-x}>0より,
f'(x)=0となるxの値を考えると, e^{-x}>0より, \sin x=\cos xとなるxの値は,
x=\dfrac{\pi}{4}+(n-1)\pi\ (n=1, 2, 3, 4, 5, 6)である。(もちろん三角関数の合成から求めてもよい)
f''(x)=e^{-x}\left(-\sin x-\cos x\right)-e^{-x}\left(\cos x-\sin x\right)=-2e^{-x}\cos x
f''(x)=0となるxの値を考えると, e^{-x}>0より, \cos x=0となるxの値は,
x=\dfrac{\pi}{2}+(n-1)\pi\ (n=1, 2, 3, 4, 5, 6)である。
これらをもとにグラフの概形を書くと, 以下のようになる。

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極値に関して
x=\dfrac{\pi}{4}, \dfrac{9}{4}\pi, \dfrac{17}{4}\piで極大値をとる。
\bullet\, 極大値をとるxの値は, 初項\dfrac{\pi}{4}, 公差2\piの等差数列になっている。
極大値は左から順に,
\dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{\pi}{4}}, \dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{9}{4}\pi}, \dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{17}{4}\pi}となる。
\bullet\, これは, 初項\dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{\pi}{4}}, 公比e^{-2\pi}の等比数列になっている。
x=\dfrac{5}{4}\pi, \dfrac{13}{4}\pi, \dfrac{21}{4}\piで極小値をとる。
\bullet\, 極小値をとるxの値は, 初項\dfrac{5}{4}\pi, 公差2\piの等差数列になっている。
極小値は左から順に,
-\dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{5}{4}\pi}, -\dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{13}{4}\pi}, -\dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{21}{4}\pi}となる。
\bullet\, これは, 初項-\dfrac{1}{\sqrt2}e^{-\frac{5}{4}\pi}, 公比e^{-2\pi}の等比数列になっている。
変曲点のx座標
x=\dfrac{\pi}{2}, \dfrac{3}{2}\pi, \dfrac52\pi, \dfrac72\pi, \dfrac92\pi, \dfrac{11}{2}\pi
\bullet\, 前途したように, x=\dfrac{\pi}{2}+(n-1)\pi\ (n=1, 2, 3, 4, 5, 6)である。
座標は左から順に
\left(\dfrac{\pi}{2}, e^{-\frac{\pi}{2}}\right), \left(\dfrac32\pi, -e^{-\frac32\pi}\right), \left(\dfrac52\pi, e^{\frac52\pi}\right), \left(\dfrac72\pi, -e^{-\frac72\pi}\right), \left(\dfrac92\pi, e^{-\frac92\pi}\right), \left(\dfrac{11}{2}\pi, -e^{-\frac{11}{2}\pi}\right)
\bullet\, 変曲点の座標を一般化すると, \left(\dfrac{\pi}{2}+(n-1)\pi, (-1)^{n-1}\cdot e^{\frac{\pi}{2}+(n-1)\pi}\right)\ (n=1, 2, 3,\cdots)となる。
減衰のしかたは, 曲線y=e^{-x}, y=-e^{-x}(上図青色の曲線)に沿う形で減衰していきます。
以上の特徴は暗記しておくと, のちのち便利です。

減衰曲線の面積

曲線y=e^{-x}\sin xx軸との交点を原点Oから正の方向に順に\text{P}_0=\text{O}, \text{P}_1, \text{P}_2, \cdotsとする。
(1) この曲線と線分\text{P}_n\text{P}_{n+1}とで囲まれた部分の面積S_nを求めよ。
(2) \displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}S_nを求めよ。
【東京女子大】

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求める面積はn\pi(n+1)\piで囲まれた面積です。
したがって, S_nは次のようになります。
\begin{array}{lll}S_n&=&\left|\displaystyle\int_{n\pi}^{(n+1)\pi} e^{-x}\sin x\, dx\right|\\&=&\displaystyle\int_{n\pi}^{(n+1)\pi} e^{-x}\left|\sin x\right|\, dx\end{array}
x-n\pi=tとすると,
\begin{array}{c|ccc} x &n\pi&\to&(n+1)\pi\\ \hline t &0&\to&\pi\end{array}
また, x=n\pi+tより, dx=dt
\begin{array}{lll}S_n&=&\displaystyle\int_0^{\pi} e^{-n\pi-t}\left|\sin(n\pi+t)\right|\,dt\\&=&e^{-n\pi}\displaystyle\int_0^{\pi}e^{-t}\left|(-1)^n\sin t\right|\,dt\\&=&e^{-n\pi}\displaystyle\int_0^{\pi}e^{-t}\sin t\,dt\end{array}
\sin xの絶対値が取れるのは, 積分区間が0\leqq t\leqq\piにおいて, \sin t\geqq0だから。
これはS_nが公比e^{-\pi}の等比数列を表すことを意味する。
ここで, S_nの初項S_0を求めると,
S_0&=&\displaystyle\int_0^{\pi}e^{-t}\sin t\,dtであるから,
\begin{array}{lll}S_0&=&\displaystyle\int\left(-e^{-t}\right)'\sin t\, dt\\&=&\left[-e^{-t}\sin t\right]_0^{\pi}+\displaystyle\int_0^{\pi} e^{-t}\cos t\, dt\\&=&\displaystyle\int_0^{\pi} e^{-t}\cos t\, dt\\&=&\left[-e^{-t}\cos t\right]_0^{\pi}-\displaystyle\int_0^{\pi}e^{-t}\sin t\, dt\\&=&e^{-\pi}+1-S_0\end{array}
これより, S_0=\dfrac{e^{-\pi}+1}{2}
S_n=S_0e^{-n\pi}であるから,
S_n=\dfrac{e^{-\pi}+1}{2}e^{-n\pi}\cdots(答)
(2)
0<e^{-\pi}<1より, S_nは収束する。
よって,
\begin{array}{lll}\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}S_n&=&\dfrac{e^{-\pi}+1}{2}\cdot\dfrac{1}{1-e^{-\pi}}\\&=&\dfrac{1+e^{\pi}}{2(e^{\pi}-1)}\end{array}
\dfrac{1+e^{\pi}}{2(e^{\pi}-1)}\cdots(答)
このように面積は等比数列になり, その無限級数和は収束します。

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