高校数学:数III積分:瞬間部分積分法(裏技?)

こんにちは。部分積分法の裏技です。私が知ったのは私が高校生のときです。ずいぶん昔からあります。それではやってみましょう。

瞬間部分積分の考え方

\log xの積分を考えるとき, 微分して\log xになる式と言えば, \log xx(微分したら1になる)をかけたx\log xが思い浮かぶかも知れません。そこで, x\log xを微分してみると,
(x\log x)'=\log x+x\cdot\dfrac1x=\log x+1\cdots\maru1
となり, \log xに近い式が得られました。ここで, x\log xを微分して\log xにするためには, \maru1の式で, 1がなくなればいいことになります。そこで, 微分して-1になる式をx\log xに加えてやることで, \maru1の1を消去しようではないか。そう考えてやるのが瞬間部分積分法です。微分して-1になる式は-xなので, x\log x-xを加えてやり, 微分すると,
(x\log x-x)'=\log x +1-1=\log xとなります。
この左辺と右辺を入れ換えると,
\log x=(x\log x-x)'となり, 両辺xで積分すると,
\displaystyle\int \log x\, dx=x\log x-x+C
となるのです。
このように積の微分の結果をもとに, 部分積分の結果を導く方法を瞬間部分積分法と呼んでいます。
もう1つ例をやってみよう。
x\log xの積分はどうなるか考えるとき, 積の微分でx\log xが出現する式といえば, 微分してxになる式を\log xにかければいいので, \dfrac{x^2}{2}\log xが思い浮かぶところです。実際これを微分すると,
\left(\dfrac{x^2}{2}\log x\right)'=x\log x+\dfrac{x^2}{2}\cdot\dfrac1x=x\log x+\dfrac{x}{2}\cdots\maru2
\maru2\dfrac{x}{2}がなくなれば, x\log xになるので, 微分して-\dfrac{x}{2}になる式をx\log xに加えればよい。その式は-\dfrac{x^2}{4}なので, これをx\log xに加えて微分してみると,
\left(\dfrac{x^2}{2}\log x-\dfrac{x^2}{4}\right)'=x\log x+\dfrac{x}{2}-\dfrac{x}{2}=x\log x
となる。
この左辺と右辺を入れ換えると,
x\log x=\left(\dfrac{x^2}{2}\log x-\dfrac{x^2}{4}\right)'
両辺をxで積分して,
\displaystyle\int x\log x\, dx=\dfrac{x^2}{2}\log x-\dfrac{x^2}{4}+C
となる。

e^xsinx系の部分積分

e^x\sin xの部分積分を考える。これには, e^x\cos xも役割を担うことになる。考え方は先と同様に, 積の微分を使って考えていく。
e^x\sin xxで微分すると,
(e^x\sin x)'=e^x\sin x+e^x\cos x\cdots\maru1
e^x\cos xxで微分すると,
(e^x\cos x)'=e^x\cos x-e^x\sin x\cdots\maru2
ここで, \maru1-\maru2をすると,
2e^x\sin x=(e^x\sin x)'-(e^x\cos x)'
e^x\sin x=\dfrac12\{e^x(\sin x-\cos x)\}'
両辺xで積分すると,
\displaystyle\int e^x\sin x\, dx=\dfrac12e^x(\sin x-\cos x)+C
とこんな感じで部分積分を実現していくのが, 瞬間部分積分法です。
よかったら使ってみてください。

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