高校数学:複素数の積と商

こんにちは。今回は複素数について触れておきます。基本事項の確認だと思ってください。

複素数は回転を表す

下の図のように, 1に-1(負の数)をかけることを数直線上で180^{\circ}の回転とみる。すると下の図のように,
1が-1倍されることで180^{\circ}回転して-1になり, 再度-1(180^{\circ})をかけるとで, 1に戻る。このように, 負の数をかけることは, 数直線上では180^{\circ}の回転を意味する。

右の図は, 1に-2をかけた場合の様子を表しているが, この場合1は数直線上で原点を中心に, 180^{\circ}回転して, かつ2倍されている。このことは, 後述する複素数と話がつながってくるので, 覚えておこう。そして, -2-3をかけると, 原点を中心に180^{\circ}回転し, かつ3倍されて6となる。つまり, 1\times(-2)\times(-3)=6である。

また, 同じ数字を2回かけて, 負の数になる数が数直線上には存在しないことがわかる。

\sqrt{-1}が存在していなったときに, いい考えを示した人がいました。それは, -1をかけることが180^{\circ}の回転なら, \sqrt{-1}はその半分の90^{\circ}の回転としようと考えたのです。そうすると, どうでしょう。一旦数直線から離れることになります。数直線上にない数なので, 想像上の数(イマジナリーナンバー)の頭文字をとってiとすることにしました。これで実数軸と虚数軸が誕生したことになります。1回の回転が90^{\circ}なので, 2回かけると180^{\circ}になります。つまり, \sqrt{-1}=i\ (90^{\circ}回転)ですから, \sqrt{-1}\times\sqrt{-1}=i\times i=-1(90^{\circ}回転\times90^{\circ}回転=180^{\circ}回転(90^{\circ}+90^{\circ}))となるわけです。

複素数の積の図形的意味

次に計算結果が分かりやすいように, 右図のような, 大きさ2, 偏角30^{\circ}の複素数を考えると, その複素数は\sqrt3+iで表される。同様に大きさ4, 偏角60^{\circ}の複素数を考えると, その複素数は2+2\sqrt3で表される。
このとき, 2つの複素数の積は
(\sqrt3+i)(2+2\sqrt3 i)=2\sqrt3+6i+2i-2\sqrt3=8i
となる。8iということは虚数軸上にあり, 大きさ8, 偏角90^{\circ}である。
この大きさ8というのは, 初めの大きさ2と大きさ4の積で, 4倍されたことを意味し, 偏角90^{\circ}というのは, 初めの偏角30^{\circ}と偏角60^{\circ}の和になっている。言い換えれば原点を中心に, 偏角30^{\circ}に対して, 反時計回りに60^{\circ}回転したことを意味する。

これを極形式で表すと,
\begin{array}{lll}&&2\left(\cos30^{\circ}+i\sin30^{\circ}\right)\times 4\left(\cos60^{\circ}+i\sin60^{\circ}\right)\\&=&8\left(\cos90^{\circ}+i\sin90^{\circ}\right)\\&=&8i\end{array}

複素数の商の図形的意味

先と同じく, 大きさ2, 偏角30^{\circ}の複素数を考えると, その複素数は\sqrt3+iで表される。同様に大きさ4, 偏角60^{\circ}の複素数を考えると, その複素数は2+2\sqrt3で表される。
このとき, 2つの複素数の商は
\dfrac{\sqrt3+i}{2+2\sqrt3}=\dfrac{\sqrt3-i}{4}=\dfrac12\left(\dfrac{\sqrt3}{2}-\dfrac{i}{2}\right)
このとき, この計算結果の複素数の大きさは\dfrac12で偏角は-30^{\circ}である。
この大きさ\dfrac12というのは, 初めの大きさ2と大きさ4の商で, \dfrac14倍されたことを意味し, 偏角-30^{\circ}というのは, 初めの偏角30^{\circ}と偏角60^{\circ}の差になっている。言い換えれば原点を中心に, 偏角30^{\circ}に対して, 時計回りに60^{\circ}回転したことを意味している。

これを極形式で表すと,
\begin{array}{lll}&&2\left(\cos30^{\circ}+i\sin30^{\circ}\right)\div 4\left(\cos60^{\circ}+i\sin60^{\circ}\right)\\&=&\dfrac12\left\{\cos(-30^{\circ})+i\sin(-30^{\circ})\right\}\\&=&\dfrac12\left(\dfrac{\sqrt3}{2}-\dfrac{i}{2}\right)\end{array}

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