TikZ:高校数学:数III積分:バウムクーヘン積分法

こんにちは。今回は数IIIの回転体の体積を求めるのに有効な技である。バウムクーヘン積分法の紹介です。y軸について回転するときに威力を発揮する公式です。それでは見ていきましょう。

バウムクーヘン積分法って

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バウムクーヘン積分法の公式

関数y=f(x), x軸, x=a, x=bに囲まれる領域をy軸について回転させたときにできる回転体の体積Vは,
V=\displaystyle \int_{a}^{b} 2\pi x f(x)\, dx
で与えられる。
これが, バウムクーヘン積分法の公式である。

証明

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今, 区間a\leqq x\leqq b内のxからx+\Delta x(赤の区間)を回転させることを考える。また, f(x)=m, f(x+\Delta x)=\mathrm{M}とする。
このとき, イメージとしては以下のような感じになる。

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このとき. 赤の区間を回転させたときにできる立体の内側の高さmと外側の高さ\mathrm{M}が異なるので, 体積を不等式評価することを考える。 求めたい体積を\Delta Vとすると, \Delta Vは底面積が半径(x+\Delta x)の円から半径xの円を引いたもので, 高さがmのものより大きく, 高さが\mathrm{M}のものより小さいので, 以下の不等式が成り立つ。
\pi\left\{\left(x+\Delta x)^2-x^2\right\}m< \Delta V<\pi\left\{(x+\Delta x)^2-x^2\right\}\mathrm{M}
\pi\left\{2x\Delta x+\left(\Delta x\right)^2\right\}m<\Delta V<\pi\left\{2x\Delta x+\left(\Delta x\right)^2\right\}\mathrm{M}
辺々\Delta xで割ると,
\pi\left(2x+\Delta x\right)m<\dfrac{\Delta V}{\Delta x}<\pi\left(2x+\Delta x\right)\mathrm{M}
ここで,
\Delta x \to 0とし, 極限をとると,
\pi\left(2x+\Delta x\right)m=2\pi x m=2\pi x f(x)
\pi\left(2x+\Delta x\right)\mathrm{M}=2\pi x m=2\pi x f(x)
となり, はさみうちの原理より,
\dfrac{\Delta V}{\Delta x}=2\pi x f(x)
\dfrac{d V}{d x}=\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}\dfrac{V(x+\Delta x)-V(x)}{\Delta x}=\dfrac{\Delta V}{\Delta x}
なので,
\dfrac{d V}{d x}=2\pi x f(x)
体積をxで微分したものが, 2\pi x f(x)なので,
よって, 求める体積Vは,
V=\displaystyle \int_a^b 2\pi x f(x)\, dx

威力

【例】曲線y^2=x^2(1-x^2)を, y軸の回りに回転させてできる立体の体積を求めよ。

【解答例】
与えられた関数をyについて解くと, y=\pm x\sqrt{1-x^2}これをもとにグラフを描くと, 以下のような感じになります。これをy軸について回転させることを考える。

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このとき, 以下の部分だけ回転させて, 上下分で2倍すればよいことになります。

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したがって, 求める体積Vは,
V=\displaystyle \int_0^1 2\pi x f(x)\,dx\times 2であり, f(x)=x\sqrt{1-x^2}であるから,
\begin{array}{lll}V&=&\displaystyle \int_0^1 4\pi x^2\sqrt{1-x^2}\,dx\\&=&4\pi\displaystyle \int_0^1 x^2\sqrt{1-x^2}\,dx\cdots\maru1\end{array}
ここで, \maru1
\displaystyle \int_0^1 x^2\sqrt{1-x^2}\,dxを計算すると,
x=\sin\thetaとおいて,
x : 0\to1,
\theta : 0\to\dfrac{\pi}{2},
dx=\cos\theta\, d\thetaであるから,
\begin{array}{lll}\displaystyle \int_0^1 x^2\sqrt{1-x^2}\,dx&=&\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2} \sin^2\theta\cos\theta\cdot\cos\theta\,d\theta\\&=&\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2}\left(\sin\theta\cos\theta\right)^2\, d\theta\\&=&\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2}\left(\dfrac12\sin2\theta\right)^2\, d\theta\\&=&\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2}\dfrac{1}{4}\cdot\dfrac{1-\cos4\theta}{2}\, d\theta\\&=&\dfrac{1}{8}\left[\theta-\dfrac14\sin4\theta\right]_0^{\frac{\pi}{2}}\\&=&\dfrac18\cdot\dfrac{\pi}{2}\\&=&\dfrac{\pi}{16}\cdots\maru2\end{array}
よって\maru1, \maru2より,
V=4\pi\cdot \dfrac{\pi}{16}=\dfrac{\pi^2}{4}\cdots(答)

この曲線はリサージュ曲線と呼ばれる曲線であるようです。
では。

入試における扱い

この裏技公式ですが, 使っていいという解釈とそうでないという解釈があります。証明をすれば堂々と使えるのは確かなのですが,証明をしていたのでは時短になりません。そのため,yで積分するという正攻法で解くことが困難な場合であるとか, マーク式の問題の場合においては, これを使った解法でもいいのではないかと思います。ただし, 個人の感想ですので, 減点に関しては責任を負いかねます。

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