高校数学:たすき掛けの因数分解

高校数学の代名詞?の1つ, たすき掛けの因数分解を書いておきます。
次の展開公式の逆ですね。以下の乗法公式
(ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd
の逆, つまり,
acx^2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)\cdots\textcircled{\scriptsize1}
の因数分解のことです。この因数分解は以下のからくりを用いて完成させます。x^2の係数を構成する2数a, cを縦に書き, 定数項を構成する2数b, dを縦に書き, たすきのようにバッテン(×)に掛け算して和を求めるとxの係数になるようにa, b, c, dを配置する。これができると, a, bc, dというように横に見て(ax+b)(cx+d)と因数分解できるわけです。

実際の問題をやりながら体得していきましょう。

例題

【例題】3x^2+16x+5を因数分解しなさい。
公式①より, 問題中の式のx^2の係数3と定数項の5は単純に2数の積で決まります。積が3になる2数は, 1と3か-1-3ですが, 先頭の符号は基本的に+の符号で, 後ろの数(この場合5)で符号の調整は行います。よって, 上のa, cに当たるものが, 1と3になります。次に定数項は5なので, 積が5になる組合せは, 先と同様, 1と5か-1-5ですが, xの係数が正の数なので, 両方負の数ということはあり得ない(xの係数が負になるから)ことになります。したがって, 積が5になる組は1と5になります。これを前途した, たすき掛けに配置し, たすき掛けした結果和をとると, xの係数16になればいい。つまり, この配置の仕方は以下になります。

よって, 例題の答えは(x+5)(3x+1)となります。
もう少し例題をしてみましょう。
【例題】6x^2+5xy-14y^2を因数分解しなさい。
以下, 与式をxについての2次式とみて, -14y^2は定数項として話を進めます。
まず, a, cは正の数なので, 6になる組は(2, 3)か(1, 6)になります。次に-14(以下話が見えやすいようyを略してます。)になる組を考えるのですが, このとき, -14ではなく, -14の絶対値の14になる組を考えて, 足したり引いたりして, xの係数5になる組を探るのです。ですから積が14になる組は(2, 7)か(1, 14)になり, a, cが(2, 3)で, b, dが(2, 7), (1, 14)で掛け算の組み合わせを試行すると, (2\times2, 3\times7), (2\times7, 3\times2), (2\times1, 3\times14), (2\times14, 3\times1)でどの結果も差が5になる組はありません。したがって, a, cが2と3ではないことになります。a, cを(1, 6)として, 積が14になる組(2, 7), (1, 14)で試行すると, (1, 6), (1, 14)の積の組み合わせでは5がつくれないことは分かってくるでしょう。また(1, 6), (2, 7)の積の組でも6と7をかける組み合わせは考えなくてもいいでしょう。そうやって消去していくと残る積の組合せは, (1\times7, 6\times2)となり, 6\times 2-1\times7=5xの係数5ができました。このときはじめて, 7にマイナスをつければいいことが分かるので, (a, c)=(1, 6), (b, d)=(2, -7)となります。このように, たすき掛けの因数分解を行うときは絶対値のまま考えて, 最後に符号で調整していくと,うまくいくことが多いです。以下の画像でその様子を触れておきます。

よって, 答えは(x+2)(6x-7)となります。

このようなものがたすき掛けを用いた因数分解です。慣れてくると見えてきますので, トライアンドエラーをくり返しながら因数分解に挑戦してみてください。
もっとコツ(時間短縮)を知りたい方は以下の記事を参照ください。

高校数学:式と計算:たすき掛けの因数分解のコツ

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