高校数学:数III極限・極限での係数決定問題

こんにちは。今回は極限値が与えられた問題での係数決定問題の攻略法を見ていきましょう。

解法のコツ

極限の係数決定問題では次の性質をよく利用する。

解法のコツ

\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f(x)}{x-a}=\alpha
とすると,
\maru1 f(a)=0として, 係数関係の式をつくる。
\maru2 分子は(x-a)\cdot g(x)と因数分解できるので, \displaystyle\lim_{x\to0} g(x)=\alphaとして問題解決を図る。

問題を見てみよう

次の等式が成り立つように, 定数a, bの値を求めよ。
(1) \displaystyle\lim_{x\to1}\dfrac{a\sqrt{x^2+3x+5}+b}{x-1}=5
(2) \displaystyle\lim_{x\to\infty}\left(\sqrt{x^2+ax}-bx-1\right)=3

【解答例】
(1) x\to1のとき, (分母)\to0である。このとき, 分母は, 3a+bになる。分母が0に近づくので, 極限値が有限値であるためには, 3a+b=0でなくてはならない。
このとき, b=-3aとおけるので, これを用いて解法していく。
\begin{array}{lll}\displaystyle\lim_{x\to1}\dfrac{a\sqrt{x^2+3x+5}+b}{x-1}&=&\dfrac{a\left(\sqrt{x^2+3x+5}-3\right)}{x-1}\\&=&\displaystyle\lim_{x\to1}\dfrac{a(x^2+3x-4)}{(x-1)\left(\sqrt{x^2+3x+5}+3\right)}\\&=&\displaystyle\lim_{x\to1}\dfrac{a(x-1)(x+4)}{(x-1)\left(\sqrt{x^2+3x+5}+3\right)}\\&=&\displaystyle\lim_{x\to1}\dfrac{a(x+4)}{\sqrt{x^2+3x+5}+3}\\&=&\dfrac{5a}{3+3}\\&=&\dfrac56a\end{array}
\dfrac56a=5なので, a=6
b=-3a=-18
よって, a=6, b=-18
(2) x\to\inftyのとき, b\leqq0であれば, この極限は\inftyに発散するので, 有限値を持たない。したがって, b>0\cdots\maru1である。ここで,
\begin{array}{lll}\sqrt{x^2+ax}-bx-1&=&\dfrac{\left\{\sqrt{x^2+ax}-(bx+1)\right\}\left\{\sqrt{x^2+ax}+(bx+1)\right\}}{\sqrt{x^2+ax}+(bx+1)}\\&=&\dfrac{\left(\sqrt{x^2+ax}\right)^2-(bx+1)^2}{\sqrt{x^2+ax}+bx+1}\\&=&\dfrac{(1-b^2)x^2+(a-2b)x-1}{\sqrt{x^2+ax}+bx+1}\\&=&\dfrac{x\left\{(1-b^2)x+(a-2b)-\dfrac1x\right\}}{x\left(\sqrt{1+\dfrac{a}{x}}+b+\dfrac1x\right)}\\&=&\dfrac{(1-b^2)x+(a-2b)-\dfrac1x}{\sqrt{1+\dfrac{a}{x}}+b+\dfrac1x}\cdots\maru2\end{array}
であるから, \maru2x\to\inftyのとき, 収束するためには, xの係数が0である必要がある。
したがって, 1-b^2=0, これと\maru1より, b=1
b=1として, \maru2の極限を調べると,
\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{a-2-\dfrac1x}{\sqrt{1+\dfrac{a}{x}}+1+\dfrac1x}=\dfrac{a-2}{2}
\dfrac{a-2}{2}=3
a=8
よって, a=8, b=1

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