こんにちは。使い方があってれば非常に便利な公式の紹介。それではいってみましょう。
下の立体(三角柱を斜めに切ったもの)の体積
は底面積を
とすると,![]()
で与えられる。
【証明】
上の立体を下のように底面に平行な面で, 点Aを通る平面AGHで切ると, 底面が台形CHGBの四角錐A
CHGBができる。
その高さをAIとすると, この四角錐の体積は\times \text{HG}\times\dfrac12\times \text{AI}&=(\text{CH}+\text{BG})\times \text{HG}\times \text{AI}\times \dfrac12\times\dfrac13\\&=\dfrac13(\text{CH}+\text{BG})\times\bigtriangleup{\text{DEF}}\end{aligned}](https://mathtext.info/blog/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-64079d6fe7d6490bf14217202ddf2e7d_l3.png)
ある。
ここで, 三角柱
の体積は次のように書ける。![]()
これより,
もとの立体
の体積
は三角柱
四角錐
で求まるので,
\
したがって, 最初の体積の公式が得られる。
下の立体(直方体を斜めに切ったもの)の体積
は底面積を
とすると,![]()
で与えられる。
立体の切り口は平行四辺形になる。MC, ENは同一平面上にあり, 面EIJNと面MLKCは平行であるから, MC
EN, 同様にME
CNだから2組の向かい合う辺がそれぞれ平行なので,
四角形MENCは平行四辺形である。
【証明】
先の立体を立体CNEM
EFGHと直方体EFGH
IJKLに分ける。
そしてさらに立体CNEM
EFGHを2つの切断された三角柱EMC
EGH, ENC
EFGに分ける。
EF
, FG
, MH
,0(点E)
, NF
, CG
とする。このとき前のページにある切断された三角柱の公式を使うと,
立体![]()
立体![]()
この2つを足すと立体CNEM
EFGHが求まるので, 加えると, &=xy\times\dfrac12\times\dfrac{e+f+h}{3}+xy\times\dfrac12\times\dfrac{f+g+h}{3}\\&=xy\times\dfrac{e+g+2f+2h}{6}\cdots\textcircled{\scriptsize{1}}\end{aligned}](https://mathtext.info/blog/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-42ef04901d473364c67d8fe50c16d443_l3.png)
ここで, 平行四辺形MENCの対角線の交点をP, 長方形EFGHの対角線の交点をQとすると, それぞれ対角線の中点で交わるので, 線分PQは長方形EFGHに垂直に交わる。このとき, 中点連結定理を用いると次の関係式が得られる。![]()
つまり![]()
である。
,
より, &=xy\times\dfrac{e+g+2f+2h}{6}\\&=xy\times\dfrac{f+h}{2}\cdots(\alpha)\\&=xy\times\dfrac{2f+2h}{4}\\&=xy\times\dfrac{e+f+g+h}{4}\cdots\textcircled{\scriptsize{3}}\\\end{aligned}](https://mathtext.info/blog/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-917d7199c041cd4df69dca21a9763ba4_l3.png)
ただし, 式の途中
としている。
また直方体(EFGH
IJKL)の体積は, &=xy\times \text{EI}\\&=xy\times\dfrac{\text{EI}+\text{FJ}+\text{GK}+\text{HL}}{4}\cdots\textcircled{\scriptsize{4}}\end{aligned}](https://mathtext.info/blog/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-94d9afa81e535531e19ed2dad5364004_l3.png)
であるから,
,
より,
もとの立体MENC
IJKLは&=(\text{CNEM}-\text{EFGH})+(\text{EFGH}-\text{IJKL})\\&=xy\times\dfrac{e+f+g+h}{4}+xy\times\dfrac{\text{EI}+\text{FJ}+\text{GK}+\text{HL}}{4}\\&=xy\times\dfrac{(e+\text{HL})+(f+\text{HJ})+(g+\text{FJ})+(h+\text{GK})}{4}\\&=xy\times\dfrac{a+b+c+d}{4}\\&=S\times\dfrac{a+b+c+d}{4}\end{aligned}](https://mathtext.info/blog/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-55642078bd98094b29cd5d97d3bed87c_l3.png)
となる。
【使用例】図のように,
,
,
の直方体がある。辺CD上に
となる点P, 辺EF上に
となる点Qをとる。さらに, 辺AB上に点Rを4点P, R, Q, Gが同じ平面上にあるようにとると, 四角形PRQGは平行四辺形となる。
このとき, (1)~(3)の各問いに答えなさい。
(1) RQの長さを求めなさい。
(2) RBの長さを求めなさい。
(3) 直方体PRQGで2つの立体に分ける。その2つの立体のうち, 頂点Aを含む立体の体積を
, 頂点Bを含む立体の体積を
とするとき,
を最も簡単な整数の比で表わしなさい。
【佐賀県】
この佐賀県の(3)の問題は上の公式を使えば, 体積を求めることなく答えが出せる。
,
であるから,
(答)
ここで, 直方体の場合, 向かい合っている高さを1組選んで平均をとればよい。これは上の
の式からも分かる。
【余談】前の
式が得られるための条件は, 四角形を1本の対角線で区切った2つの三角形の面積が等しいことが必要である。
つまり, (底辺)
(高さ)が等しいことが必要不可欠。ここでは底面が長方形であるから, 面積は等しくなる。底面が台形などでは対角線で区切ると2つの三角形の面積比は, (上底)
(下底)となり, 基本台形では上底と下底は異なるので, この公式は使えないということになる。この公式を理屈を知らずして乱発するのは誤答につながりそうだ。
僕もやってしまいそうである(笑)。でもこの証明は面白かった。では。
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