高校数学:三角形の存在条件と証明

こんにちは。今回は三角形の存在条件について書いておきます。感覚的に2つの辺の和が最大辺より長くないと三角形ができないのは理解できると思います。2辺の和が最大辺とちょうどのときや短いときは三角形ができませんよね。それを深堀していきましょう。

三角形の存在条件

△ABCの3辺a, b, cにおいて, 次の不等式が成り立つとき, 三角形は存在する。
|b-c|<a<b+c
aが最大辺ならa<b+c

三角形が存在するためにはcosθのθが存在すること

三角形が存在するということは, 三角形に関する等式で, 実数解が存在することを意味します。今回は余弦定理を用いて, 三角形の存在条件を示していきます。

0^{\circ}<A<180^{\circ}において, \cos Aのとる範囲は, -1<\cos A<1\cdots\maru1となる。
\maru1における\cos Aを余弦定理から\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}に置き換えると,
-1<\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}<1
両辺に2bcをかけて,
-2bc<b^2+c^2-a^2<2bc
各辺々にb^2+c^2を移行して,
-b^2-2bc-c^2<-a^2<-b^2+2bc-c^2
両辺に-1をかけて並べ替えると,
b^2-2bc+c^2<a^2<b^2+2bc+c^2
因数分解して,
(b-c)^2<a^2<(b+c)^2
絶対値をとって2乗を外すと
|b-c|<|a|<|b+c|
ただし, a>0, b+c>0であることから
|b-c|<a<b+c\cdots\maru2を得る。
また, \maru2|b-c|<aより,
-a<b-c<aとなり, -a<b-cから, c<a+bが得られ, b-c<aから, b<a+cが得られる。
以上より
|b-c|<a<b+c
\begin{cases}a<b+c\\b<a+c\\c<a+b\end{cases}
aが最大辺ならb<a+c, c<a+bは自明, a<b+cだけで判断できる。
よく使うのは\maru2の不等式とaが最大辺のとき, a<b+cなので, はじめにこの2つを記した。

例題をやってみよう

【例題】3辺の長さが次のような三角形は存在するか。
(1) 4, 5, 8
(2) 12, 5, 6

(1) 最大辺は8で, 8<4+5=9なので存在する。
(2) 最大辺は12で, 12>5+6=11なので存在しない。

三角形の存在条件

△ABCの3辺a, b, cにおいて, 次の不等式が成り立つとき, 三角形は存在する。
|b-c|<a<b+c
\begin{cases}a<b+c\\b<a+c\\c<a+b\end{cases}
aが最大辺ならa<b+cのみでよい。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)