TikZ:高校数学:数IIIグラフ:サイクロイド曲線とその性質

こんにちは。数IIIでよく登場するサイクロイド曲線について書いておきます。

サイクロイド曲線とは

サイクロイドとは, a>0, 0\leqq\theta\leqq2\piとし, 媒介変数表示
\begin{cases}x=a\left(\theta-\sin\theta\right)\\y=a\left(1-\cos\theta\right)\end{cases}
で表される曲線のことをいう。
図形的な意味は, 直線に沿って, 半径aの円がちょうど1回転するときの円周上の1点(定点:図中青色)の軌跡を表している。したがって, 線分\mathrm{OP}の長さは, 半径aの円周の長さ2\pi aと一致する。

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グラフを描いてみる

x\thetaで微分すると,
\dfrac{dx}{d\theta}=a\left(1-\cos\theta\right)となる。
0<\theta<2\piの範囲では, 1-\cos\theta>0なので, \dfrac{dx}{d\theta}>0である。
したがって, \thetaが増加すれば, xの値も増加する。
y\thetaで微分すると,
\dfrac{dy}{d\theta}=a\sin\thetaとなる。
0<\theta<2\piにおいて, \sin\thetaは, 0<\theta<\pi\sin\theta>0であるから, \dfrac{dy}{d\theta}>0で, \pi<\theta<2\pi\sin\theta<0であるから, \dfrac{dy}{d\theta}<0である。
したがって, yの値は, 0<\theta<\piで増加し, \pi<\theta<2\piで減少する。
これをもとにグラフを描くと以下のようになる。

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サイクロイドの弧の長さ

さてサイクロイドの弧の長さを求めていきましょう。
求める長さをLとすると,
\dfrac{dx}{d\theta}=a(1-\cos\theta), \dfrac{dy}{d\theta}=a\sin\thetaであるから,
\begin{array}{lll}L&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}\sqrt{\left(\dfrac{dx}{d\theta}\right)^2+\left(\dfrac{dy}{d\theta}\right)^2}\,d\theta\\&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}\sqrt{a^2(1-\cos\theta)^2+a^2\sin^2\theta}\, d\theta\\&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}a\sqrt{2(1-\cos\theta)}\, d\theta\cdots\textcircled{\scriptsize 1}\end{array}
半角の公式より,
1-\cos\theta=2\sin^2\dfrac{\theta}{2}であるから, \maru1は次のようになる。
\begin{array}{lll}L&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}a\sqrt{2\cdot2\sin^2\dfrac{\theta}{2}}\, d\theta\\&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}2a\left|\sin\dfrac{\theta}{2}\right|\, d\theta\cdots\textcircled{\scriptsize 2}\end{array}
0\leqq\theta\leqq2\piより, 0\leqq\dfrac{\theta}{2}\leqq\piなので, \sin\dfrac{\theta}{2}>0である。
よって, \maru2の絶対値はそのまま外せる。したがって, \maru2を計算すると,
\begin{array}{lll}L&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}2a\sin\dfrac{\theta}{2}\, d\theta\\&=&2a\left[-2\cos\dfrac{\theta}{2}\right]_0^{2\pi}\\&=&2a\left\{2-(-2)\right\}\\&=&8a\end{array}
よって曲線の長さは8aとなります。

サイクロイドの面積

サイクロイド曲線とx軸で囲まれた面積を求めてみましょう。
求める面積をSとすると,
\begin{array}{lll}S&=&\displaystyle\int_0^{2\pi a}y\, dx\\&=&\displaystyle\int_0^{2\pi a}y\, \dfrac{dx}{d\theta}\, d\theta\cdots\textcircled{\scriptsize 1}\end{array}
として求めていきます。
\dfrac{dx}{d\theta}=a\left(1-\cos\theta\right)で,
x0\to2\pi aとなるとき, \theta0\to2\piとなるので, \maru1は次のように計算できる。
\begin{array}{lll}S&=&\displaystyle\int_0^{2\pi}a\left(1-\cos\theta\right)\cdota\left(1-\cos\theta\right)\,d\theta\\&=&a^2\displaystyle\int_0^{2\pi}\left(1-2\cos\theta+\cos^2\theta\right)\, d\theta\\&=&a^2\displaystyle\int_0^{2\pi}\left(1-2\cos\theta+\dfrac{1+\cos2\theta}{2}\right)\,d\theta\\&=&a^2\displaystyle\int_0^{2\pi}\left(\dfrac32-2\cos\theta+\dfrac{\cos2\theta}{2}\right)\,d\theta\\&=&a^2\left[\dfrac32\theta-2\sin\theta+\dfrac{\sin2\theta}{4}\right]_0^{2\pi}\\&=&a^2\left\{\left(3\pi-0+0\right)-\left(0-0+0\right)\right\}\\&=&3\pi a^2\end{array}
よって, 面積は3\pi a^2になる。
※計算途中, 倍角の公式より,
\cos^2\theta=\dfrac{1+\cos2\theta}{2}
としている。

回転体の体積

上で求めた面積をx軸を回転の軸として1回転させたときにでいる立体の体積を求めてみる。
求める体積をVとすると,
\begin{array}{lll}V&=&\pi\displaystyle\int_0^{2\pi a}y^2\, dx\\&=&\pi\displaystyle\int_0^{2\pi a}y^2\, \dfrac{dx}{d\theta}\, d\theta\cdots\textcircled{\scriptsize 1}\end{array}
として求めていきます。
\dfrac{dx}{d\theta}=a\left(1-\cos\theta\right)で,
x0\to2\pi aとなるとき, \theta0\to2\piとなるので, \maru1は次のように計算できる。
\begin{array}{lll}V&=&\pi\displaystyle\int_0^{2\pi}a^2\left(1-\cos\theta\right)^2\cdot a\left(1-\cos\theta\right)\,d\theta\\&=&\pi a^3\displaystyle\int_0^{2\pi}\left(1-\cos\theta\right)^3\, d\theta\\&=&\pi a^3\displaystyle\int_0^{2\pi}\left(1-3\cos\theta+3\cos^2\theta-\cos^3\theta)\,d\theta\cdots\textcircled{\scriptsize 2}\end{array}
ここで, 倍角の公式と3倍角の公式より,
\cos^2\theta=\dfrac{1+\cos2\theta}{2}
\cos^3\theta=\dfrac{\cos3\theta+3\cos\theta}{4}
を用いて, \maru2を書き換えると,
\begin{array}{lll}V&=&\pi a^3\displaystyle\int_0^{2\pi}\left(\dfrac52-\dfrac{15}{2}+\dfrac32\cos2\theta-\dfrac14\cos3\theta\right)\,d\theta\\&=&\pi a^3\left[\dfrac52\theta-\dfrac{15}{4}\sin\theta+\dfrac34\sin2\theta-\dfrac{1}{12}\sin3\theta\right]_0^{2\pi}\\&=&\pi a^3\left\{\left(5\pi-0+0-0\right)-\left(0-0+0-0\right)\right\}\\&=&5\pi^2 a^3\end{array}
よって, 体積は5\pi^2 a^3になる。

弧の長さ・面積・体積

サイクロイド曲線a>0, 0\leqq\theta\leqq2\pi
\begin{cases}x=a\left(\theta-\sin\theta\right)\\y=a\left(1-\cos\theta\right)\end{cases}
について。
\maru1\, サイクロイドの曲線の長さは, 8a
\maru2\, 曲線とx軸で囲まれた面積は, 3\pi a^2
\maru3\, \maru2の図形をx軸について1回転させてできる体積は, 5\pi^2 a^3

2 COMMENTS

柚木昭夫

曲線の長さでL=∫[0→2π]2asinθ/2 dθ で =2a[-2cosθ/2][0→2π] は納得ですが どうしてそれが=2a(2-(-2))となるのかわかりません。その理由を教えてください。

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mathtext

失礼ですが、
三角関数の計算はされたことありますか?
積分計算はされたことありますか?
積分計算そのものです。
ですからそうなります。
ちなみにcosπ=-1,cos0=1です。
よろしくお願いします。

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