高校数学:整数:合同式の性質と使い方

こんにちは。知っておくと便利な合同式。その性質と証明と使い方を書いておきます。早速やっていきましょう。

合同式とは

ある整数a, bを整数mを割ったときの余りが等しいとき, abmを法として合同(mで割った余りが等しい)と言います。
例えば, 14と8を6で割ったときの余りはともに2ですから, 14と8は6を法として合同(6で割った余りが等しい)と言います。
これを数学の記号では,
14\equiv8\ (\text{mod}\ 6)
読み方は
「14合同8モッド6」と読みます。
と書きます。
\text{mod}~とは~で割った余りということです。
他に7と10は3で割ると余りがともに1なので, 7\equiv10\ (\text{mod}\ 3)となります。

合同式の性質

合同式の性質

a\equiv b, c\equiv dならば,
\maru1 和 a+c\equiv b+d\ (\text{mod}\ m)
\maru2 差 a+c\equiv b+d\ (\text{mod}\ m)
\maru3 積 ac\equiv bd\ (\text{mod}\ m)
\maru4 商 ea\equiv eb\ (\text{mod}\ m) emは互いに素ならば, a\equiv b
\maru5 累乗 a^n\equiv b^n\ (\text{mod}\ m) nは自然数
が言えます。

以下mを法として話を進めていきます。特に断りのない場合はすべて\text{mod}mです。
また, a\equiv bなので,
a=mp+r, b=mq+rとし,
b\equiv dなので,
c=ms+r', d=mt+r'とする。
ただし, p, q, r, r', s, tは整数とする。

①の証明

a+c\equiv b+dの証明
\begin{array}{lll}a+c&=&(mp+r)+(ms+r')\\&=&m(p+s)+r+r'\equiv r+r'\ (\text{mod}\ m)\\\end{array}
\begin{array}{lll}b+d&=&(mq+r)+(mt+r')\\&=&m(q+t)+r+r'\equiv r+r'\ (\text{mod}\ m)\\\end{array}
以上より, mで割った余りが等しいので,
a+c\equiv b+d\ (\text{mod}\ m)

②の証明

a-c\equiv b-dの証明
\begin{array}{lll}a-c&=&(mp+r)-(ms+r')\\&=&m(p-s)+r-r'\equiv r-r'\ (\text{mod}\ m)\\\end{array}
\begin{array}{lll}b-d&=&(mq+r)-(mt+r')\\&=&m(q-t)+r-r'\equiv r-r'\ (\text{mod}\ m)\\\end{array}
以上より, mで割った余りが等しいので,
a-c\equiv b-d\ (\text{mod}\ m)

③の証明

ac\equiv bdの証明
\begin{array}{lll}ac&=&(mp+r)(ms+r')\\&=&m^2ps+(pr'+sr)m+rr'\equiv rr'\ (\text{mod}\ m)\\\end{array}
\begin{array}{lll}bd&=&(mq+r)(mt+r')\\&=&m^2qt+(qr'+tr)m+rr'\equiv rr'\ (\text{mod}\ m)\\\end{array}
以上より, mで割った余りが等しいので,
ac\equiv bd\ (\text{mod}\ m)

④の証明

ea\equiv eb\ (\text{mod}\ m) emは互いに素ならば, a\equiv bの証明
ea\equiv ebなので,
ea-eb=e(a-b)=\equiv 0\ (\text{mod}\ m)より,
e(a-b)mの倍数。
また, emは互いに素なので,
a-bmの倍数である。
よって, a-b\equiv0
つまり, a\equiv b\ (\text{mod}\ m)
互いに素でなければ,
例えば, 14\equiv8\ (\text{mod}\ 6)の辺々を2で割ると, 7\equiv4\ (\text{mod\ 6})となり合同が成り立ちません。
互いに素であるなら,
例えば, 14\equiv8\ (\text{mod}\ 3)の辺々を2で割っても, 7\equiv4\ (\text{mod\ 3})となり合同が成り立ちます。

⑤の証明

a^n\equiv b^nの証明
二項定理を用いて展開していきます。
\begin{array}{lll}a^n&=&(mp+r)^n\\&=&{}_n\text{C}_0(mp)^nr^0+{}_n\text{C}_1(mp)^{n-1}r^1+{}_n\text{C}_2(mp)^{n-2}r^2+\cdots+{}_n\text{C}_n(mp)^0r^n\\&\equiv&r^n\ (\text{mode}\ m)\end{array}
\begin{array}{lll}b^n&=&(mq+r)^n\\&=&{}_n\text{C}_0(mq)^nr^0+{}_n\text{C}_1(mq)^{n-1}r^1+{}_n\text{C}_2(mq)^{n-2}r^2+\cdots+{}_n\text{C}_n(mq)^0r^n\\&\equiv&r^n\ (\text{mode}\ m)\end{array}
以上より, mで割った余りが等しいので,
a^n\equiv b^n\ (\text{mod}\ m)

合同式の使い方の例

【例】nは6で割って4余る整数です。このとき, n^2+5n+3を6で割った余りを求めなさい。

合同式を用いない場合は, n=6k+4とおいて代入していって計算していくのがお決まりである。
今回はそうではなく, 余りに着目して解くとどうなるかということである。
nを6で割った余りが4なので
n\equiv4\ (\text{mod}\ 6)\cdots\maru1
合同式は累乗できるので, \maru1の辺々2乗して
n^2\equiv16\cdots\maru2
合同式は掛け算できるので, \maru1の辺々5倍(5\equiv5を掛ける)して,
5n\equiv20\cdots\maru3
3\equiv3\cdots\maru4
\maru2+\maru3+\maru4とすると,
n^2+5n+3\equiv16+20+3=39\equiv3\ (\text{mod}\ 6)
したがって, 求める余りは3

【例】4^{100}を13で割った余りを求めよ。

4^3=64でこのとき, 13で割ると余りが-1になります。これを使うと次のようになります。
4^3=64\equiv-1\ (\text{mod}\ 13)
求めるのは100乗なので, 辺々33乗して4をかけると,
\left(4^3\right)^{33}\cdot4\equiv(-1)^{33}\cdot4\ (\text{mod}\ 13)
4^{100}\equiv-4\equiv9\ (\text{mod}\ 13)
よって, 求める余りは9
※余り-4ということは, 余り9と合同

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