高校数学:条件付き確率について

こんにちは。今回は条件付き確率について書いておきます。例題を解きながら見ていきましょう。

条件付き確率とは

【条件付き確率とは】事象Aが起こったとして, そのときに事象Bが起こる確率のことを, Aが起こったときにBが起こる条件付き確率といいます。この条件付き確率は一般に
P_A(B)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(A)}\cdots\maru{a}
で表されます。
つまり事象Aが起こったという状況の中での確率なので, 分母には事象Aの確率がきます。その中で事象Bが起こるので分子には事象A\cap B(AかつB)の確率がきます。したがって\maru{a}という表現になります。このように条件付き確率では, 事象全体の確率ではなく, 事象全体の範囲が事象Aだけに限られる場合の確率になります。

事象Aが全事象になる

【例】袋の中に1から5までの自然数が1つずつ書かれ5個の赤玉と, 1から5までの自然数が1つずつ書かれた5個の白玉がある。この袋の中から玉を1個取り出したとき, 赤玉が出た。この玉に書かれている数が偶数である確率を求めなさい。
【解法】この場合, 事象Aにあたるのが赤玉が出たという事象です。では赤玉が出る確率P(A)は10個の中の5個が赤玉なので, P(A)=\dfrac{5}{10}。事象Bにあたるのが偶数であるという事象なので, P(A\cap B)という赤玉かつ偶数が出るという確率は10個の中に赤玉の2, 4の2個しかないので, P(A\cap B)=\dfrac{2}{10}
よって, 求める条件付き確率P_A(B)は,
P_A(B)=\dfrac{\frac{2}{10}}{\frac{5}{10}}=\dfrac25

2017年のセンター試験から一部抜粋


【例】あたりが2本, はずれが2本の合計4本からなるくじがある。A, B, C の3人がこの順に1本ずつくじを引く。ただし, 1度引いたくじはもとに戻さない。
(1) A, B の少なくとも一方があたりのくじを引く事象E_1の確率は, 【 \maru{1} 】である。

(2) 次の【 \maru{2} 】,【 \maru{3} 】, 【 \maru{4} 】 に当てはまるものを、下の0 ~ 5のうちから一つずつ選べ。ただし, 解答の順序は問わない。
A, B, C の3人で2本のあたりのくじを引く事象Eは, 3つの排反な事象【 \maru{2} 】,【 \maru{3} 】,【 \maru{4} 】の和事象である。
0 A がはずれのくじを引く事象
1 A だけがはずれのくじを引く事象
2 B がはずれのくじを引く事象
3 B だけがはずれのくじを引く事象
4 C がはずれのくじを引く事象
5 C だけがはずれのくじを引く事象 
また、その和事象の確率は 【 \maru{5} 】である。

(3) 事象 E_1が起こったときの事象Eの起こる条件付き確率は, 【 \maru{6} 】である。
【解法】
(1) 余事象を考える。 A, B の少なくとも一方があたりのくじを引くという事象E_1の余事象\overline{E_1}は, A, Bがともにはずれを引く事象なので,
確率P(\overline{E_1})=\dfrac{2}{4}\times\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{6}
よって求める確率は,
\begin{array}{lll}P(E_1)&=&1-P(\overline{E_1})\\&=&1-\dfrac16\\&=&\dfrac56\cdots\maru{1}\end{array}
(2) 3人のうち2人が当たるということは1人だけはずれが出るということ。
したがって, A, Bが当たってCだけはずれる。A, Cが当たってBだけはずれる。B, Cが当たってAだけはずれる。という3つの事象の和事象になる。よって, 1, 3, 5\cdots\maru{2}, \maru{3}, \maru{4}順不同
この和事象の確率は,
\begin{array}{lll}P(E)&=&\dfrac{2}{4}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{2}{2}+\dfrac24\times\dfrac23\times\dfrac12+\dfrac{2}{4}\times\dfrac23\times\dfrac12\\&=&\dfrac16+\dfrac16+\dfrac16\\&=&\dfrac12\cdots\maru{5}\end{array}
ちなみにこの上の確率を説明すると,
以下(Aのひく確率)\times(Bのひく確率)\times(Cのひく確率)の順で記しています。
\dfrac{2}{4}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{2}{2} A, Bが当たりでCがはずれを引く確率(Cだけはずれ)。
\dfrac24\times\dfrac23\times\dfrac12 Aが当たりBがはずれを引いてCが当たる確率(Bだけはずれ)。
\dfrac{2}{4}\times\dfrac23\times\dfrac12 Aがはずれを引いてB, Cが当たる確率(Aだけはずれ)。
(3) 事象E_1(A, Bの少なくとも一方が当たった)が起こった中で, 事象E(2人は当たりで1人だけはずれを引く)が起こる条件付き確率P_{E_1}(E)は,
\begin{array}{lll}P_{E_1}(E)&=&\dfrac{P(E_1\cap E)}{P(E_1)}\\&=&\dfrac{P(E)}{P(E_1)}\\&=&\dfrac{\frac12}{\frac56}\\&=&\dfrac35\cdots\maru6\end{array}

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