高校数学:複素数における式変形の例③z^n-1の因数分解

こんにちは。頻出系の式変形を書いておきます。知らないとこんな式変形思いつかないかもという内容です。先ず例題を示します。そして, 最後に類題をやってみましょう。

例題

【例題】複素数zz=\cos\dfrac25\pi+i\sin\dfrac25\piのとき,
(1) z^4+z^3+z^2+z+1の値を求めよ。
(2) z\cdot z^2\cdot z^3\cdot z^4の値を求めよ。

解法とテクニック

【解法】
(1) z=\cos\dfrac25\pi+i\sin\dfrac25\piの両辺を5乗する。5乗する理由は偏角を2\piにするためである。
\begin{array}{lll}z^5&=&\left(\cos\dfrac25\pi+i\sin\dfrac25\pi\right)^5\\&=&\cos2\pi+i\sin2\pi\\&=&1\cdots\maru1\end{array}
\maru1から, z^5=1となり, z^5-1=0として, 左辺を因数分解すると,
(z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)=0
となる。このとき, z\neq1なので, z-1\neq0である。
よって,
z^4+z^3+z^2+z+1=0
したがって, 求める値は0である。
(2) z\cdot z^2\cdot z^3\cdot z^4に指数法則を用いると,
z\cdot z^2\cdot z^3\cdot z^4=z^{1+2+3+4}=z^{10}
したがって,
\begin{array}{lll}z^{10}&=&\left(\cos\dfrac25\pi+i\sin\dfrac25\pi\right)^{10}\\&=&\cos4\pi+i\sin4\pi\\&=&1\end{array}
よって, 求める値は1である。

知っておきたいテクニック

\maru1 両辺を何乗かして\cos2\pi+i\sin2\pi=1をつくる。
\maru2 因数分解のテクニック
z^n-1の因数分解(ちゃんと因数分解するとnの値によっては以下のようにならないこともあります。)
z^n-1=(z-1)(z^{n-1}+z^{n-2}+z^{n-3}+\cdots+z^2+z+1)
例 z^{11}-1=(z-1)(z^{10}+z^9+z^8+z^7+z^6+z^5+z^4+z^3+z^2+z+1)
例外 z^6-1=(z^3+1)(z^3-1)=(z+1)(x^2-x+1)(z-1)(z^2+z+1)
ただし, これも, (z-1)(z^5+z^4+z^3+z^2+z+1)と変形はできます。

類題

【類題】複素数zz=\cos\dfrac{\pi}{13}+i\sin\dfrac{\pi}{13}のとき, 次の値を求めよ。
(1) 1+z+z^2+\cdots+z^{25}
(2) z\cdot z^2\cdot \cdots \cdot z^{25}

【略解】
(1) zの両辺を26乗すると,
z^{26}=1
z^{26}-1=0
(z-1)(z^{25}+z^{24}+\cdots+z+1)=0
z\neq1より, z^{25}+z^{24}+\cdots+z+1=0
つまり, 1+z+z^2+\cdots+z^{25}=0
よって求める値は0
(2) z\cdot z^2\cdot \cdots \cdot z^{25}=z^{1+2+\cdots+25}=z^{325}=z^{13\times25}
\begin{array}{lll}z^{325}&=&\left(\cos\dfrac{\pi}{13}+i\sin\dfrac{\pi}{13}\right)^{13\times25}\\&=&\cos25\pi+i\sin25\pi\\&=&-1\end{array}
よって求める値は-1

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